個人と法人の課税方法

個人事業の課税方法と法人の課税方法
 個人と会社(法人)は税金の課税の仕方が違います。
 個人事業主は暦年12月末までの1年の利益(所得)に対して所得税が課されます。
 会社は一事業年度(決算期までの過去1年)の利益(所得)に対して法人税が課されます。起業初期は決算期末まで。1年超にはなりません。

 所得税も法人税も利益(所得)に対して課税されますが、所得税は所得税法、法人税は法人税法と各々別の法律で税金計算されます。

 所得税法と法人税法では、税率をはじめ所得計算のルールなど違いがあります。個人事業では会社のように役員報酬を取ることはできません。個人事業の専従者給与は「専ら」個人事業に従事する妻等の給与ですが、会社では他にお勤めしていても「非常勤役員」で月20万円程度の役員報酬支給は合理性がある場合が多いです。

1 所得税と法人税の税率や計算構造の違い
 個人事業主の個人事業の利益(所得)に対して課される所得税は超過累進税率が適用されます。超過累進税率は課税利益が多くなに連れて税率が高くなる構造になっています。税率は5%から始まり、最高税率は45%です。
 個人事業主は、利益(所得)に対して個人住民税と個人事業税も課されます。個人住民税の税率は定率で10%(道府県民税4%、市町村民税6%)です。
 個人事業税は290万円の事業所得を超える部分に対して原則5%の税率で課税です。
 個人事業の所得税と住民税の合算速算表は次の通りです。
課税所得(①)
;超(含まず)
課税所得(①)
;以下(含む)
税額の速算式(①×税率-控除)
0万円
195万円
①×15%
195万円
330万円
①×20%-97,500円
330万円
695万円
①×30%-427,500円
695万円
900万円
①×33%-636,000円
900万円
1,800万円
①×43%-1,536,000円
1,800万円
4,000万円
①X50%-2,796,000円
4,000万円

①×55%-4,796,000円

(注1)事業所得が290万円以上の場合は、上記とは別に事業税が課税されます。
(注2)平成25~49年までの確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則所得税×2.1%)をあわせて申告&納付することになります。
(注3)個人住民税は所得金額に関係なく10%の税率で計算しています。
個人事業者は、その年の分の所得(利益)を翌年の3月15日までに確定申告をして、納税します。個人住民税は、確定申告後の5月中下旬頃に郵便で納付書が送付され6月、8月、10月、翌年1月の4回の分納です(一括納付も可能)。

 個人事業税については、事業所得が290万円超は、確定申告後8月頃に納付書が送られます。納付時期は原則8月と10月の年2回の分納です(一括納付も可)。
 一方、会社の利益(所得)に課税される法人税率は定率です。普通法人は利益×23.9%の税率。中小法人(資本金1億円以下)のは平成29年3月期まで年間800万円の所得部分について15%(それ以降は19%)、年間800万円超の部分は23.9%で課税することになっています。見通しとして今後税率は下がる方向にあります。
 会社も利益(所得)に対し法人住民税と法人事業税が課されます。
 法人住民税の税率は17.3%(道府県民税5%,市町村民税12.3%)です。

2.住民税の税金の掛かり方イメージ
 個人の場合は、所得に住民税の税率を乗じて計算しますが、法人の場合は、国税の法人税額に法人住民税の税率を乗じて計算します。
 (1)個人事業  所得×住民税率=住民税
 (2)法人    所得×法人税率×住民税率=法人住民税
 備考:平成26年10月1日以後の開始事業年度から地方法人税(法人税額の4.4%)が課されます。ただ法人住民税の税率は下がりトータルの税負担は変わりません。