1 水増し費用とは
通常の経費は、決算日迄の役務授受完了の契約は、債務確定しているので、出費の有無に拘らず費用(損金)。「でっちあげ経費」は違法です。なお決算期迄の記帳(損金経理)が必要な経費は法定されています。相談下さい。0120—01—6066(窓口山本努/アアクスグループ@豊洲駅前(江東区)。
水増しとは?
納税者の決算終了後(総勘定元帳の修正後残高試算表の締め後)に、「領収書」が出てきたら、経理としてどうするでしょうか?
答えは「債務確定したと推定して損金(費用)になり、決算書に組み込まれます」。しかし領収書を「でっち上げ」したら違法です。
なお、決算書は決算日(事業年度の末日)終了後、原則2か月以内の定時株主総会により、承認され決算数値が確定することになります。法人税等の確定申告は、その確定した決算書を基に、税務調整を加味して行われます。
違法の証明は、税務署の相手の収入記録、実態調査・実態記録等で検査します(税務調査)。相手の経理内容との突合もします。相手の受取金額の記録、領収書の日付、その日の受領者の行動記録(手帳等)、押印の朱肉・インクの渇き具合、印紙の種類、相手の方への税務署の質問(尋問)。
金額が多額の現金授受による領収書は、疑われます。なぜ銀行振込しなかったのですかと…。「人の勝手でしょ」と云うのは、如何にも説得力を欠いています。
また「相手が要求したから」と云うと、相手方に行って「なぜ現金を要求したのですか?」と半面調査されます。支払調書も時期によっては違法露見の切り口にも事後の領収書のでっち上げに関する「経理記帳」については、現金残の記録が合わなくなります。経理記録の詳細や、お金の出所が注目されます。
税務調査では、どこまで調査するかによります。しかし不正の有無の検査をしろと云われた場合、私なら99%の不正が感知できます。
2 損金経理とは
損金経理とは、法人税の課税所得の計算上、損金の額に算入するためには、法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することを云います。「法人の意思」は確定した決算処理を判断するのが適当という考えに基づいている。
しかし企業組織再編税制等では決算上の損金経理とは異なる考え方がある。
税法に則った説明をすれば、
「損金経理」とは、法人税法第2条(定義)第二十五号の「法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう」と定義されている。
「確定した決算」とは、会社法の定時株主総会の決算承認を得た決算と云うことになる。
そこでは、損金経理とは、企業会計において費用又は損失として処理することを指している。
そして、法人税法では、償却等一定の「内部」の意思決定を必要とする費用項目については、確定決算において損金経理を要求する。
また、役員退職給与等特定の「外部」との取引については、損金経理、または、法定の経理を要求する。
確定決算で損金経理した金額が、課税所得の計算の基礎となる。従って、損金経理事項については、法人は申告に際して、税法上の申告調整を行うことは認められない。
問題点としては次のような問題がある。
イ みなし損金経理
非適格合併等により被合併法人等が移転する資産について。
非適格合併等の時額による譲渡とされる。だから、非適格合併等で受入た減価償却資産の取得価額は、時額 と付随費用等となる。
しかし減価償却資産の簿価が、取得価額に満たない場合は、その差額についてはその後に損金経理ができな い。
そこで、平成16年度の税制改正で、その差額を損金経理額とみなした。そしてその差額も償却費として
損金算入することとされた。
趣旨は、減価償却費の損金算入は、損金経理が要件だが、損金経理できないので、損金経理をしたものと
みなすというものである。
ロ 役員退職給与を現物で支給した場合
役員社宅の土地及び建物を、役員退職給与として支給する場合、時価による現物支給と取扱う。
例えば土地及び建物の簿価2,000万円、時価3,000万円とすると、3,000万円の役員退職給与支給として、
取り扱う。つまり時価3,000万円を役員退職給与として損金経理する。
土地及び建物の時価3,000万円は、2,800万円と役員退職給与を損金経理することもあり得る。
この場合、時価と「法人が役員退職給与として評価した額との差額」200万円をどう取扱うか問題がある。
法人の評価額と時価の相違は評価上の問題であり、役員退職給与の損金性の問題とは次元が違う。
法人の意思は、土地及び建物を損金経理により役員退職給与として支給することである。時価と法人の
評価額との差額200万円は役員退職給与と認められる。
しかし時価との差額200万円は損金経理が行われていない。役員退職給与として損金算入は認められない
そこで上記イと同様「みなす損金経理」とされる。
ハ 3年償却制度とIT投資促進税制との選択適用
法人が、取得価額20万円未満の減価償却資産について。
確定決算で損金経理により減価償却費を計上した場合で、申告上、普通償却限度額を超える部分の金額を
自己否認して申告加算することが認められている。
※ この20万円未満資産は、一括償却資産の3年償却制度(法人税法施行令第133条の2)の対象の
ものとする。
これらの減価償却資産がIT投資促進税制(租税特別措置法第42条の11)の対象要件を満たすとする。
すると、申告上、これらを同税制による法人税額の税額控除の対象とすることができる。
一括償却資産の3年償却制度の適用には、確定申告書における意思表示が要件となっているからである。
法人は、一括償却資産の3年償却制度を適用するために、確定決算において損金経理をした。しかし申告に
よる意思表示をせず、これらの制度の適用を選択しないことができる。
一括償却資産の3年償却制度及びIT投資促進税制の適用の意思表示は、法人の確定申告である。
即ち、損金経理要件が、法人の意思表示の確認のために規定されていない。
ニ 利益積立金で役員退職給与を支給した場合
退職引当金で役員退職給与を支給した場合は、損金経理が行われていない。これは損金不算入とする。
役員退職給与を損金算入し、利益積立金を利益に戻し入れ、補てんに充てた場合は、損金経理したものと
みなす。
仕訳を纏めると次のようになる。
㋑ 役員退職引当金から直接支出する経理
(借方)役員退職引当金800万円 (貸方)現金預金800万円
㋺ 支給額は損金経理し、役員退職積立金を利益に戻入経理
(借方)役員退職金800万円 (貸方)現金預金800万円
(借方)役員退職引当金800万円 (貸方)役員退職引当金取崩益800万円
上記㋺が前提で、次の仕訳を追加した場合も、帳簿記録には損金経理をしたと認められる。
(借方)役員退職引当金取崩益800万円 (貸方)役員退職金800万円
この場合は、税務当局に提出する決算書等への注記をする。
それにより、税務当局に対して会社の損金経理の意思表示を明確したことが認められる。
この仕訳は、結果として、上記㋑の仕訳と同じ。そうであれば、㋑の場合にも、税務当局に提出する
決算書等に注記すれば、法人の処理を認められるかもしれない。
3 債務確定の3要件とは
販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定 [平成27年4月1日現在法令等]
各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額に算入される金額は、別段の定めのあるものを除き、1売上原価等の額、2販売費、一般管理費その他の費用の額、3損失の額とされています。
このうち、「販売費、一般管理費その他の費用」については、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち、償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除いたものに限られています。
この償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものをいいます。
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している こと。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
例えば、修繕費を例にとると、建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にでき得る状況にあれば、上記の3つの要件を満たし未払金等として計上できることになります。(法人税法22、法人税法基本通達2-2-12)。
備考:基本通達とは、国税庁長官が全国の国税局長宛に出す法令取扱いに関する通達のこと。
法令ではありません。ただ国税庁としての統一見解で税務職員は遵守義務を負います。
出所:国税庁ホームページ(一部補足)